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今年は、アルファGTで出場だ。新型だからチューニングパーツはまだない。ブレーキシステム、ホイール、マフラー、足回りなど、ほとんどの機能パーツは新規に開発することになる。どうせそんな大変なことをするなら、レースで終わらせないで、作ったパーツを一般の人も入手できるように製品化まで持っていこう。ということでOTA-VERSIONの市販化コンセプトが決まった。

 でも、当初の着地点をどこに置くかということを悩んだ。まずはあくまでもストリートユースを前提にすべきという案。でもそれだとサーキットを走るには中途半端になる。市販車でサーキット走行したことがある人はわかるだろうけど、まずブレーキが数周でフェードする。ノーマルから多少性能を上げたくらいでは、サーキットを安心して攻め込めるようにはならない。だからといって、レース専用じゃ製品化の意味も薄れる。どうすべきか?

 その方向性を決めなければならない。今年からチームのメカニックをつとめる並木と、このOTA-VERSIONのページ担当の佐藤とも議論し、とりあえずわれわれが向かうところは、誰でも明らかに性能が上がったことを体感できる高性能を目指そう。ハードに走っても耐えうる性能を持つものを作ろう。そのために実戦で徹底的にテストしよう。最高のモノができ上がってから、それをディチューンして、市販用としよう。そう決めた。通常のパーツメーカーが行うやり方と反対の方向でいくことにしたわけだ。

 初戦に不安があったことは確かだ。レースカーを作って初めてコースを走らせることをシェイクダウンという。僕の十数年間のレース経験の中で、シェイクダウンでまともに走ったことはない。しかも今回は、そのシェイクダウンがレースの当日だった。

 走り出してみると、案の定、ブレーキにトラブルが出た。リアブレーキが片効きするトラブルだ。グリップの高いサーキット路面とSタイヤ、そして今回新しく開発した足回り、フロントのブレーキパットも強化してきた。こうしたことにより、コーナリングとブレーキ性能が格段に上がっている。そこでノーマルだったリアブレーキのキャリパーにそのひずみが出てしまった。キャリパーのダストブーツが熱だれしてピストンの動きが鈍くなってしまい片効きになってしまったのだ。

 このトラブルで自分のスターティンググリッドにつけず、最後尾グリッドからのスタートとなってしまった。

 こんなで走りきれるか?

 でも、今回のレースの目的は、どの部分をどう改良していくかを見極めるためのダメ出しにある。気を取り直して決勝をスタートした。

 ブレーキを踏むと後輪が片効きし、テールを金魚のように左右に振ってスピンしそうになる。だからブレーキを極力踏まないようにし、エンジンブレーキに頼って最後の最後、どうしても必要なときだけ軽くブレーキを踏むようにした。そうやってごまかしながら走れることがわかって、途中からペースアップできた。

 結果的にクラストップでゴールできた一因は、今回作ったマフラーの効果で、直線が速かったことがある。今までいろいろな市販マフラーを試してみて、どうかなあ、変わったのかなあ、と感じたことがあったのも事実。でもそれは仕方ない面があって、市販での扱いやすさを重視すると、どうしてもレースで必要な高回転域が弱くなる。

 もともとアルファ製V6エンジンは低回転でのトルクが強く、1500回転も上げていれば十分に走れるほどだが、その一方で、高回転の伸びが鈍い。

 スポーツ走行には、やっぱりフェラーリのように高回転でびゅんびゅん気持ちよく回るマフラーがほしい。そこでマフラーを担当する田中さんと打ち合わせて、OTA-VERSIONは排気抵抗が少なくなるようにパイプの直径を大きくし、またできるだけ継ぎ目の無いストレート形状にした。この効果は抜群で、うっかりしているとオーバーレブさせてしまうほど高回転が一気に回るようになった。これが直線ストレートの速さを生み、追い越しをかけるのに有利に働いた。

 次回はさらに形状と素材に手を入れるつもりだ。

 今回は重いノーマルホイールだったが、次回は軽量なものができてくる。そしてブレーキの徹底的な熱対策も施すつもりだ。昨年までの156GTAもそうだったが、高熱により、ブレーキトラブルだけでなく、ドライブシャフトのグリースがふいてしまうという欠点も確認した。次回はこのあたりの対策も行う予定だ。

 それにしても、ずいぶんといっぱいダメ出しができたなぁ。改良箇所がハッキリわかってよかったということだ。

 

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